性悪猫/猫を抱いて象と泳ぐ [book]
猫がでてくる本、ぽつぽつ読んでます。
パウル・クレーは、絵画の詩人、といわれることがあるけど、
この作品で、やまだ紫さんは、漫画の詩人かもしれない。
猫が、猫の生活の中、猫の言葉で綴ってる。
線描のしなやかな猫たち。さまざま変わる美しい季節を背景に。
拾われたばりで、ずぶぬれの、ぎすぎすだったり。
心が泣いている飼い主のそばだったり。
「せけんなど どうでもいいのです
お日様いっこ あればー」
詩集のように、時々読み返し、言葉を噛みしめたい本。
やまだ紫さん自身も、どんな状況もストンと受け止め生きてきたヒトなんだろうな。
「慌てるな。坊や」
静謐で美しいチェスを紡ぎだす、リトル・アリョーヒンの心にこだまする亡きマスターの声。
普通の幸せ、という点から見たら、決して、恵まれなかった彼なのだけど、
あたたかさに包まれているのが痛いほどわかって、何度も、何度も、泣いてしまった。
ありのままを、ありのままに受け止め、
チェスの海の中、猫のポーンを抱き、ビショップの象と泳いで行く姿は、
あまりに静かで、自由で、美しい。
生まれつき唇が閉じて生まれ、
切開手術で、脛から皮膚移植したため、唇に毛が生えている少年の物語、ということで、
昔、見た映画、「エレファント・マン」の後味の悪さを思い出し、ずっと敬遠していたけれど、
この小説には気分の悪さは全くなく、異形すら必然だったのではと思えてくる。
以前、小川洋子の「妊娠カレンダー」を読んだ時、
残酷で甘美な世界に嫌気が差したのだけど、
否が応でも、それが現実なのね・・・。
ただし、現実を受け止めて、辿り着ける世界があるとしたならば、
この「猫を抱いて象を泳ぐ」なんだろうな。
めずらしく、同じ作家さんの作品が、ひとすじにつながったなぁと感じられる本でもありました。
パウル・クレーは、絵画の詩人、といわれることがあるけど、
この作品で、やまだ紫さんは、漫画の詩人かもしれない。
猫が、猫の生活の中、猫の言葉で綴ってる。
線描のしなやかな猫たち。さまざま変わる美しい季節を背景に。
拾われたばりで、ずぶぬれの、ぎすぎすだったり。
心が泣いている飼い主のそばだったり。
「せけんなど どうでもいいのです
お日様いっこ あればー」
詩集のように、時々読み返し、言葉を噛みしめたい本。
やまだ紫さん自身も、どんな状況もストンと受け止め生きてきたヒトなんだろうな。
「慌てるな。坊や」
静謐で美しいチェスを紡ぎだす、リトル・アリョーヒンの心にこだまする亡きマスターの声。
普通の幸せ、という点から見たら、決して、恵まれなかった彼なのだけど、
あたたかさに包まれているのが痛いほどわかって、何度も、何度も、泣いてしまった。
ありのままを、ありのままに受け止め、
チェスの海の中、猫のポーンを抱き、ビショップの象と泳いで行く姿は、
あまりに静かで、自由で、美しい。
生まれつき唇が閉じて生まれ、
切開手術で、脛から皮膚移植したため、唇に毛が生えている少年の物語、ということで、
昔、見た映画、「エレファント・マン」の後味の悪さを思い出し、ずっと敬遠していたけれど、
この小説には気分の悪さは全くなく、異形すら必然だったのではと思えてくる。
以前、小川洋子の「妊娠カレンダー」を読んだ時、
残酷で甘美な世界に嫌気が差したのだけど、
否が応でも、それが現実なのね・・・。
ただし、現実を受け止めて、辿り着ける世界があるとしたならば、
この「猫を抱いて象を泳ぐ」なんだろうな。
めずらしく、同じ作家さんの作品が、ひとすじにつながったなぁと感じられる本でもありました。